しーたかの日本酒アーカイブ

日本酒の魅力について、もっと語りたくなったからブログを始めたんだ

『日本酒フェア 2016』で全国の地酒と戯れるの巻

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こんにちは、しーたかです。
 
今回も日本酒イベントのレポート!
 
池袋で行われた『日本酒フェア 2016』に行ってきました。
 

日本酒フェアとは

日本酒フェアは、ざっくり言えば、全国各地の日本酒を一同に試飲出来るイベントです。
 
会場内には、各都道府県の酒造組合やその他団体のブースが出展しています。
来場者は、ブースを回遊しながら、日本酒を利き酒していくというスタイルです。

また、同日に同じフロアで『平成27酒造年度全国新酒鑑評会 公開きき酒会』というイベントも行われていました。

公開きき酒会の会場では、全国新酒鑑評会で入賞した日本酒、約410点を試飲出来ます。全国新酒鑑評会で入賞するレベルの日本酒は、各蔵の技術の粋を集めたものといっても過言ではありません。
どのような性格のお酒が出品されているのか気になる方は、外部サイトですが、しらべぇで萩野酒造の蔵元さんが書いた記事が参考になりますので、よろしければどうぞ。
 
ちなみに私は、公開きき酒会の方は行きませんでした。
 
理由はいろいろありまして、
  • スポイトを使ってセルフで注ぐという試飲方法があまり好きでない。
  • ベルトコンベアーに乗るかのような流れ作業になりがち。
  • どの酒も同じ味で飽きる。
  • 蔵の方とコミュニケーションを取れるわけではない。
  • 日本酒フェアと公開きき酒会の両方とも参加すると、意地汚い私は飲み過ぎてしまう。泥酔必至。
  • 公開きき酒会に参加しないと、入場料は1500円と低価格。
などなど、まぁざっと思い付くだけでもこれぐらい。
 
参加しなかった一番の理由は「鑑評会の出品酒に興味がない」というこの一点でしょう。
 
全国新酒鑑評会に出品しているような日本酒は、市場で販売する予定のないものがほとんどです。
 
まれに鑑評会出品酒を販売している蔵もありますが、ごくごく限られた本数であったり、高価であったり、一般の人がそうそう購入できる酒ではありません。
 
私は、市場にほとんど出回らないような酒には興味ないんです。
 
購入可能な商品群から、これはという酒を見つけ出して、末永く楽しむ。こっちの方がよっぽど面白いと思うのですが、どうでしょうか。 

日本酒フェア会場の池袋サンシャインへ

f:id:sakearchive:20160628151114j:imageというわけで、池袋サンシャインシティーにやってきました。6月の池袋は暑かった…。6月半ばで最高気温30℃って、なんだよそれ。

日本酒フェアには5年連続で参加していますが、開催日の気温が年々上昇しているような気がしてなりません。
 
ウルトラマンと坊主の子供。夏休み感ハンパねぇ。

f:id:sakearchive:20160628151126j:image階段を上って日本酒フェアの会場フロアへ。すると長蛇の列が!うっひょおおおお(^o^)

f:id:sakearchive:20160628151142j:imageちなみに、この列はすでにチケットを持っている方が並ぶ列です。

チケットを持っていない人は、当日券を購入したのちに並ばないといけないようです。

そして当日券の窓口も混み合っているので、ここでもしばし並ぶことを余儀なくされます。

 
チケットを購入した後、さきほどの入場の列に並びます。

f:id:sakearchive:20160628151202j:imageうん、さっきより人増えてますね。当たり前か。

日本酒フェアには6年ぐらい連続で来ていますが、かつてこれほどまで行列していたことがあっただろうか…?

『日本酒ブーム』という言葉には懐疑的な私ですが、やはりブームは来ているのかもしれないなぁと思い知らされました。

 
ちなみにこれが購入したチケットです。私は第2部に参加したので15:30~19:00の回ですね。

f:id:sakearchive:20160628151217j:image最大3時間半の長丁場のイベントなので、ペース配分を考えないと、後でつらい思いをすることになります(笑)

事実、私は日本酒フェアに来ると、毎年前半で飛ばしすぎて、後半ゾンビ状態になっています…。

同じ轍は踏むまい。今年は前半は控えめ、後半に勝負、これで行く。今年の俺は流川になる。沈黙の前半は最後に勝つための布石…そうだろ?流川ーー

行列を経て、いよいよ日本酒フェア会場内へ!

15分ほど並ぶと、ようやく入場口まで来ました。入場者用のリストバンドが配られています。

f:id:sakearchive:20160628151232j:image日本酒フェアのしおりと試飲用のおちょこを頂きます。

f:id:sakearchive:20160628151246j:imageこのおちょこを持ち歩いて、各ブースでお酒を注いでもらいます。残念ながらしおりの方はほとんど読んだことありません(笑)

 
ちなみにこちらは会場の案内図。

f:id:sakearchive:20160628151300j:image案内図といっても、これで全体の半分なんですよね~。こちらは関東・甲信越・北陸・中国・四国ブースの会場なので、こちらとは別に、北海道・東北・近畿・九州などの会場があります。

 
2~3年前に来たときは『出展ブース全制覇』なんてバカなことやってましたが、今年は気になるところだけ立ち寄ることにします。
 
入場時の行列からお察しですが、会場内は、人がごったがえしていて、なかなか写真が撮れませんでした…。というわけで写真の残っている一部のブースだけ紹介していきます。

まずは山口県ブースへ。

入場してすぐに山口県ブースへ立ち寄りました。

f:id:sakearchive:20160628151315j:image日本酒を普段あまり飲まない方はピンとこないかもしれませんが、山口県は旨い日本酒多いんですよね!

有名なところですと、獺祭、東洋美人、五橋、貴、長陽福娘、雁木、長門峡など枚挙に暇がありません。

 
その中でも、今回私が注目したのは『阿武の鶴』という銘柄です。

f:id:sakearchive:20160628151330j:imageというのもこちらの銘柄、なんと製造・販売するのが30年ぶりなのです。

販売元の阿武の鶴合資会社は、昭和58年度以降、製造を中止していました。

自社での製造を中止してからは、他社が製造した日本酒を自社商品として販売していたそうです。いわゆる『逆桶売り』ですね。

『逆桶売り』については、ここでは詳細な説明を省略させていただきますので、ご存じない方はどうぞググってみてください。

 
とにもかくにも、27BYの造りから製造・販売を再開させたということで、これは飲まないわけにはいかないだろう!
 
というわけで『阿武の鶴 First』をいただきます。
 
口に含むと、麹由来の甘みがあります。そして、サッと引ける儚げな余韻が素晴らしい!これかなり美味いです。醸造再開1年目にして、すでに全国レベルの酒質にあるように思います。
 
阿武の鶴を注いでもらうときに「おや?」と思ったのが、ボトルの裏ラベルに「東洋美人がなんちゃら」と記載されているのが見えました。
 
ブースのスタッフの方が間違えて東洋美人の酒を注いだのかな…?
 
気になってあとで調べたころ、どうやら『阿武の鶴 First』は東洋美人の澄川酒造場のタンクを借りて醸造されたそうです。
 
というのも、蔵を自社の蔵の設備が整わず、やむなく澄川酒造場の施設を借りて醸造…という経緯だったとか。再開後2年目の酒造りは自社蔵での醸造を目指すそうなので、これからが楽しみなお酒であります。

広島ブース。種類多すぎ!!

 さてこちらは広島県ブースです。ここも人が多く、遠巻きに撮影。

f:id:sakearchive:20160628151349j:image販売用のお酒が陳列されています。

f:id:sakearchive:20160628151403j:image広島県のブースは、その場で販売しているお酒の種類が多いですね~。関東圏ではなかなか入手できないような銘柄もあります。

ブースのスタッフの方いわく、この日の一番人気は『神のいたずら』という銘柄だそうです。40%精米の大吟醸酒で大変美味しかったです。

雄町かね(?)の岡山県ブース

こちらは岡山県酒造組合のブースです。

f:id:sakearchive:20160628151417j:image岡山県といえば『雄町』米の産地で有名です。雄町で醸した日本酒は野性味のある野太い味わいになりやすく、その独特な味わいにコアなファン(通称オマチスト)も多いようです。

 
やはり岡山のブースは、どの日本酒を見ても雄町!雄町!雄町!

f:id:sakearchive:20160628151434j:image多賀治の純米雄町をいただきました。むせかえるような強烈な旨み、ハマる人はハマる味だと思います。私はたまに飲むぐらいでいいかな(笑)

 
日本三大白菊(勝手に命名)のひとつ、大典白菊を発見!
f:id:sakearchive:20160628152453j:image大典白菊、旨いんですよねー。ちなみに日本三大白菊のあと2つは、高知県の土佐しらぎくと石川県の奥能登の白菊です。ん?そういえば茨城県にも白菊酒造というところがありますよ。これでは4つになってしまいますね、まぁいいか(笑)

酒の國・島根県ブース

こちらは島根県酒造組合のブース。誰が書いたのか、酒の國島根。いい味出してます!
f:id:sakearchive:20160628152536j:image島根県はしっかり辛いお酒が多い印象です。王祿や李白、出雲富士、月山といった首都圏でも有名な銘柄もありますが、基本的には地元に根差した酒が多いのかなと思います。
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私は島根県のお酒では『環日本海』がお気に入り。いかにも島根の酒らしい辛口で、北の方の日本酒ではなかなか見られない力のある味わいです。
 

徳島県ブースは三好菊がジャック!

次は徳島県酒造組合のブースへ。
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徳島県ブースは半分ぐらい『三芳菊』の商品スペースになっていました。
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相変わらずぶっ飛んだラベルですね~。三芳菊は日本酒の概念をブチこわすような甘みと酸味で人気を博しています。
 
一口頂こうと思ったのですが、他のお客さんがなかなかブースから離れないので断念しました。都内に行けばいつでも飲めるし、まぁいいか!
 
ちなみにブースの脇には、不穏な幕が張ってありました(※酒のラベルです)
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『強力』の存在感が光る鳥取県ブース

次は鳥取県ブース。ここでは千代むすびをいただきました!一番右は夏酒で爽やかな仕上がり。左の3本は精米歩合の違いで3種類、どれも根底にはしっかりしたコクを感じます。
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千代むすびは最近都内の方でもよく見かけますね~。各種試飲イベントにも精力的に出展しています。今回出品しているお酒はすべて強力という酒米で醸造されたものです。
 
強力は鳥取県オリジナルの酒米です。
強力は鳥取県オリジナルの酒米といっても、最近開発されたものではなく、昔からある品種です。
 
昔は盛んに栽培されていたそうなのですが、長稈で倒伏しやすく、栽培が難しいため、シーンからしばらく姿を消していました。
 
それからしばらくして、平成に入ると「鳥取の酒米を使って真の地酒を造ろう」という機運が高まります。
 
かつて栽培されていた鳥取県オリジナルの強力が再び注目を浴び、県内で再び栽培されるようになりました。
 
なんでこんな話を長々としたかというと、私はこういう温故知新的な話、好きなんですよね。
 
そりゃあ効率重視で言えば、他県の米使うの方が手っ取り早いですよ。でもそうじゃないだろ、と。
 
鳥取の地酒としてのオリジナルに目を向ける。こういうのいいなぁって思うんです。単に旨い酒が造れればオッケーってわけでもないですよね。

福井県ブース、人気は黒龍と梵が二分

こちらは福井県ブースです。
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福井県といえば『黒龍』『梵』が世界的に有名であり、やはり人気があります。
 
実際にブースでも「黒龍ください」「梵ください」という声が圧倒的に多かったように思います。
 
黒龍と梵はどこでも飲める機会はあるので、飲まなくてもいいかな~と思いつつも、梵を一杯頂きました(笑)
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福井県は黒龍と梵以外にも旨い酒が多いので、来場された方には、もっと他の酒にも目を向けてほしいと思うのですが、いかんせんアピール不足な気がします。
 
個人的なオススメを挙げると
  • 吟醸造りは、白岳仙や伝心、白龍、越前岬あたりがオススメ。
  • 魚に合う辛口の早瀬浦
  • 全量純米造りの雲の井
  • 酸の強い個性的な舞美人
  • 山廃造りの福千歳、生酛の北の庄
などなど、個性溢れる地酒が多いわりには、今一つ盛り上がりに欠けているのがもったいないように思います。
 
「東北の酒も美味しいけど、福井の酒も捨てたもんじゃないぞー!」と高らかに叫びたいです。

富山県ブース。氷見の曙・初嵐を頂きました。

こちらは富山県酒造組合のブース。
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ここでは富山県氷見市の高澤酒造さんのお酒を頂きました。
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まずは写真左の大吟醸からいただきます。お米は兵庫県産の山田錦。
 
大吟醸のお酒ですが、いやみな香りは全くなく、素直に口内に滑り込んでくる印象です。
 
漁港で有名な氷見のお酒とあって、大吟醸のお酒でも魚と合うように造られているように感じました。
 
次は写真右の曙 純米酒 大漁旗をいただきます。
これはわかりやすく辛口のお酒。飲み飽きしない純米酒という表現がピッタリで、魚介類なら刺身でも焼き物でもなんでも寄り添ってくれそうな懐の深さを感じます。
 
最後に写真中央の曙 初嵐 純米吟醸を頂きます。
派手すぎず、控えめすぎず、中程度の吟醸香が漂います。口に含むと、ほんのりフルーティーかつ綺麗な酸があって、最後に来る苦味渋味が味の印象を引き締めてくれます。キリッと綺麗な酸味はリースリングの白ワインに通じる味わいです。普段はワインしか飲まない人にも飲んでみてほしい、そんなお酒でした。
 
同じ蔵のお酒を3種類も試飲するつもりはなかったのですが、高澤酒造の蔵の方が、熱心に説明してくださるので、ついつい全種類飲んでしまいました。これも日本酒イベントの醍醐味ですね!

こちらは長期熟成酒研究会のブース。

さぁ次は長期熟成酒研究会のブースに来ました。
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日本酒フェアでは、各都道府県のブース以外にも、日本酒関係の団体が出展しています。
ちなみに長期熟成酒研究会とはどのようなものなのか。公式HPより引用します。

長期熟成酒研究会は、日本酒の熟成古酒の普及と製造技術の向上を主な目的として、小売店、酒販店、流通業者、酒造会社によって設立された団体です。

日本酒の熟成条件の研究、熟成によって日本酒に引き起こされる変化の科学的探究を行う一方で、日本酒文化の一翼を担う熟成古酒の普及活動にも力を注いでおります。

うーんいいラインナップ。f:id:sakearchive:20160628153220j:image以前、長期熟成酒研究会が主催する『熟成古酒ルネッサンス』というイベントに参加しました。

sakearchive.hatenablog.jp

日本酒を飲み始めた頃は、古酒の独特の熟成香に慣れず「あまり美味しくないなぁ」と思っていました。

しかし最近では、古酒といってもいろんなタイプのお酒があることに気づき、進んで試してみるようになりました。熟成を経たお酒の味は、新酒とはまた違った趣があって、なかなかオツなものです。食わず嫌いはよくないですねぇ。 

静岡県ブース。静岡のニューカマー『喜平』を頂きます。

こちらは静岡県ブースです。スタッフの方にオススメされたのはこちら!
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『喜平』という銘柄です。静岡の酒はだいたい飲んだつもりでしたが、これは初めて見ました。
 
それもそのはずで、『喜平』を造る静岡平喜酒造さんの創業は平成24年で、最近売り出したお酒なんだそうです。
 
ブースにいらっしゃったスタッフの方曰く「岡山で『喜平』という同じ名前の日本酒を造ってるんですけど、静岡にもうひとつ会社を立ち上げたんですよ。味は正直、静岡の喜平の方が美味しいです。」とのこと。
 
薦められるがまま飲んでみると
「ウマイ!」
静岡らしい淡麗な酒質に、ほどよく香りがあって飲みやすい。タイプとしては山口県の『東洋美人に』近い印象です。これはそのうち人気出るだろうなぁ。機会があれば他にもいろいろ飲んでみたいところです。
 
気になってググったら静岡平喜酒造さんのホームページを覗いたら、設立の背景が詳しく載っていました。気になる方はどうぞ。

おわりに

と、ここまでお伝えしてきましたが、なんとまだブース全体の半分もレポートしていないことに気づいて絶望しました。これ以上書いてもキリがないので、切り上げることにします。完全に力尽きました。
 
日本酒フェアはどのブースも個性があって、書きたいことがたくさんあるんですよね。来年も行くことがあれば、もう少しコンパクトにまとめた記事を書きたいと思います(反省)
 
 それではまた!