こんにちは、しーたかです。
本日は久しぶりに滋賀のマッドサイエンティストの作品のご紹介を。
それがコチラ『笑四季(えみしき) エレメンツオブライフ EP. いちご』です。
滋賀県甲賀市の笑四季酒造のお酒です。
笑四季酒造のお酒は、以前にも当ブログでは何度か紹介したことがありますね。
意味深なネーミングだったり、ころころ変わるシリーズ編成だったり、あの手この手で我々を惑わせてくれます(笑)
ネーミングこそ変幻自在ですが、『笑四季』の根幹には「甘口至上主義」という一貫したポリシーがあります。
その思想が特に色濃く反映されているのは『笑四季 モンスーン』シリーズでしょう。
『笑四季 モンスーン』は、現在は蔵元杜氏を務める竹島充修氏が、酒蔵に婿入りした後に試行錯誤して開発した極甘口の日本酒です。
仕込み水に一部清酒を加えて仕込む貴醸酒(きじょうしゅ)と言われるカテゴリーのお酒ですね。
2010年にリリースされると、独特のリッチな甘みがたちまち評判となり、今や笑四季酒造を代表するシリーズに成長しました。
ちなみに、何を隠そうこの私も、日本酒にハマり始めたときに『笑四季 モンスーン』を飲んでその濃密な甘みにやられたクチです(笑)「この酒やべーじゃん!」ってね。
初期の頃はロックバンドで言うところの「初期衝動」と言わんばかりに、アバンギャルドな酒をどんどんリリースしていた笑四季酒造ですが、年月が経って最近は芸風(?)が変化してきたのか、当初に比べてやや落ち着いた大人しめのお酒が増えてきたように思います。
こんなことを蔵元様本人に言ったら怒られるのでしょうが、10年近くも経てば大抵の人は丸くなっていくし、お酒を造る人が丸くなればお酒も同様に丸くなるものなんでしょうね。
と言っても、探求心が失われたとか、酒の味が落ちたとか、そういうわけではないと思うんですよね。
事実、この数年で全量純米仕込みに踏み切ったり、蔵付き酵母や花酵母で仕込みをしたりと意欲的に取り組んでいますし、酒の味が大人しめになってきたのは造り手が円熟してきた証しとも言えます。
竹島さんが追求する笑四季スタイルの完成形はいつになるのか。
おそらく数年以上は先になるのではないかと思いますが、試行錯誤した努力が実を結ぶ日には『新政』や『風の森』クラスの美酒にも勝る相当やべー酒が出来上がるんじゃないかって、今からワクワクしちゃってる自分がいます。
自分がこれだと思ったお酒は定点観測して、その成長、変化を楽しむのも日本酒ファンの楽しみ方のひとつだよなーと思いますね。
『笑四季 エレメンツオブライフ』今回は莓から分離した酵母
さて『笑四季(えみしき) エレメンツオブライフ EP. いちご』の裏ラベルはこちらです。
スペック表も貼っておきます。
原材料 | 米(国産)、米麹(国産米) |
原料米 | 滋賀県産 吟吹雪 |
精米歩合 | 50% |
使用酵母 | 東京農大花酵母いちご |
日本酒度 | -12 |
酸度 | 2.0 |
アルコール度数 | 16度 |
日本酒度はマイナス12というかなり甘口よりの数値です。酸度も2.0とやや高めではありますが、どう作用するのか見ものな気がします。
また今回の『笑四季』の最大の特徴はいちごの花酵母を使用しているところでしょう。
花酵母というと、桜や向日葵、ツルバラあたりはちょくちょく見かけますけど、いちごは初めて飲むかも?
それではいただいてみましょう。
グラスに口を近づけると、バナナ主体の香りにちょい柑橘のニュアンスが。笑四季にしては香りがやや強いですね。みずみずしい甘みがありそうな雰囲気。
口に含むと、果実と水飴を足して2で割ったようなソフトな甘みが口の中に広がります。
味のボリュームはライトボディからミディアムボディぐらいですかね。ピュアで品のいい甘みが実に心地いい!
生酒なのでややフレッシュですが、嫌な荒さはなく、デリケートなタッチで舌に沁みこんでいきます。
私の悪い癖で笑四季に求めてしまいがちなアバンギャルドな主張は皆無ですが、その代わりに、花も恥じらう年頃の娘のような無垢さ、イノセンスを感じますね。
やべーな、犯罪的な匂いがするなこの酒は(笑)ま、でもけっこう好きですね、こういうのも。
すーっと伸びるような余韻の途中で、じわりとした軽めの酸が小さな波を立てて滑らかなフィニッシュに繋げていきます。
そんなわけで今回いただいた『笑四季(えみしき) エレメンツオブライフ EP. いちご』、ピュアで伸びのいい甘みが好印象のお酒でした!
なんといっても押し付けがましくない味わいなのがいいですね。一分の隙も見せない美酒って感じではないけど、その分親しみやすいキャラクターです。
人も酒も、多少隙がある方がとっつきやすいと思いませんか?
それではまた。
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