こんにちは、しーたかです。
先日、京都の日本酒バー『たかはし』さんで、こんなお酒をいただきました。
千葉県のお酒『香取 純米 自然酒 90』です。京都へは観光で来ていたのですが、京都の冬は思っていた以上に寒く、「燗酒を美味しく飲ませてもらえるお店に入ろう」ということで入ったのが烏丸にある『たかはし』さん。
そこで「とびきり旨い熱燗を」とお願いして出てきたのが、この『香取』というわけです。
発酵の里・神崎の寺田本家
『香取』か…聞いたことあるようなないような…?マスターに聞いてみると『五人娘』で有名な千葉県の寺田本家のお酒とのこと。
寺田本家の創業は1673年。先代の時代には廃業寸前まで追い込まれたそうですが、近年は『百薬の長となる酒を造る』を合言葉に、無農薬栽培の米を使い、余計な薬品などは添加せず、昔ながらの生もと造りでゆっくりと醸した自然酒のスタイルを貫くことで、酒通の間で評判を呼び、じわじわと人気を集めています。
ラベルの脇にも無添加・無濾過である旨の文章が添えられていますね。うーんなんて実直で、誠実な蔵なんだろう…!
よく勘違いされていることですが、一般的に『純米酒』と謳っているお酒のほとんどが、米と米麹と水だけで出来ているわけではなく、ラベルに記載義務のない薬品や添加物がたくさん使われています。
消費者としては「なんだそれじゃ純米ではないじゃないか…!」と騙されているような気分になりますが、国の決めたルール通りに記載しているだけなので酒蔵には非がありません。あくまでもルールに則っているだけです。
そういった背景があるなかで、酒そのものの自然な味わいを提供するべく、無農薬米・無添加・無濾過にこだわる寺田本家の姿勢はもっと評価されるべきなんじゃないかなぁと思います。
では、熱燗をつけてもらったので飲んでみましょう。徳利を持つと、炊きたてのご飯+焼きいものような、ほっこりとしたいい匂いがしてきます。優しいナチュラルな味を連想…これはいい酒の予感。
お猪口に酒を注ぎ、口にします。
う、うまい…!
ふくよかな旨みにやや遅れて酸味がじわじわと口の中に広がります。かなりしっかりした味わい。旨みも酸も強く出ている。
なのに、ツンと来るような刺激は一切なく、体の芯から労ってくれるようなじんわりとした優しさを感じます。「優しい味わい」とかそういうレベルじゃないんですよ!「酒そのものが優しい」のです。
例えるなら、檜や赤松の木造りの浴場で、ゆっくり湯船に浸かっているような極楽気分。すごい酒ですよ、こいつは!
おわりに
『香取 純米 自然酒 90』素晴らしい酒でした。
まさか京都に観光に来て、千葉の酒で感動するとは思いもよりませんでしたね…。
「酒は純米、燗ならなおよし」の言葉で知られる故・上原浩氏も、この酒を飲めばニッコリと恵比寿顔になること間違いなしでしょう(笑)
低精白で低コストなためか、懐に優しいお値段なのも嬉しいですね。一升購入して家でじっくり飲むのが最高ですが、『香取』を初めて飲む方は、四合瓶で様子をみるのもありだと思います!燗酒マニアは一升瓶即買い推奨です。
それではまた。
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