しーたかの日本酒アーカイブ

日本酒の魅力について、もっと語りたくなったからブログを始めたんだ

神奈川・海老名『蔵元佳肴 いづみ橋』泉橋酒造直営のレストランで極上のペアリングを楽しんできました!

広告

広告

こんにちは、しーたかです。

今回は先輩氏のお誘いでお食事会に。それもオープン以来ずっと気になっていて、でもなかなか行けずにいたお店を予約していただきました。

というわけで今回は『蔵元佳肴 いづみ橋』へ行ってきました。f:id:sakearchive:20171108125209j:imageそう、ネーミングでピンと来た方も多いでしょう!こちらのお店は神奈川県海老名市にある酒蔵、泉橋酒造が経営するレストランです。

熱心な日本酒ファンなら必ず一度は聞いたことがあるだろう『いづみ橋』

実直に米の豊かな旨みを引き出した味わいは、燗酒にするとより一層花開く。

近年の日本酒ブームに浮わつくこともなく、ただひたすらに米のポテンシャルに迫る硬派な酒蔵という印象があります。

地元の米にこだわり、地元の契約農家から買い付けるだけでなく、自社で山田錦や雄町、亀の尾などの酒米を栽培します。もちろんすべての酒は純米規格。

頻繁に開催される酒蔵見学ツアーに参加すると、酒造りは農業そのものであり、酒造りは田んぼから始まるということが肌身にしみてわかるように懇切丁寧にレクチャーしてくれます。

sakearchive.hatenablog.jp

今回訪れた『蔵元佳肴 いづみ橋』は海老名駅から徒歩5分。ららぽーと海老名の裏手にあるエビーロードの小路を入ったところにあります。

以前この辺りは田んぼしかないようなエリアでしたが、再開発が進みずいぶんとオシャレな街になりました。

『いづみ橋』の幟を見つけて小路に入ると、お店の入り口に至るまでのところどころに斗瓶や杉玉がオブジェとして飾られています。f:id:sakearchive:20171108125230j:image
「さぁ酒と美味しい肴をいただくぞー」という気分になっていきます。
f:id:sakearchive:20171111144027j:image
扉を開けて店内に入ります。

エントランスには、泉橋酒造の自社商品がずらりと陳列されています。飲んで気に入ったお酒があればその場で買って帰れるというのは非常にいいですね。
f:id:sakearchive:20171111144046j:image
接待利用であれば、ゲストにお土産を渡すこともあるかと思います。「酒好きのゲストに日本酒のお土産を」というシーンにもバッチリ応えてくれます。

上着を預けて席に着きました。テーブルセッティングはこんな感じ。f:id:sakearchive:20171111144108j:image
白のテーブルに朱色の半月盆が映えますね。半月盆にはあの見慣れたトンボのロゴ。箸や箸置きに至るまで美意識を感じます。

なんと言っても「やり過ぎてない」ギリギリの塩梅が心地よいですね。ビシッとあまり堅苦しいのもイヤだけど、ほんの少しの緊張感が酒と料理を美味しくしてくれるスパイスなんだろう。

こちらは本日のお品書き。左は料理で、右は日本酒。
f:id:sakearchive:20171111144137j:image
『蔵元佳肴 いづみ橋』は基本的に6000円のコース料理のみ。食材は基本的に『地産地消』を合言葉に、泉橋酒造の地元である神奈川県内のものを中心に扱っているとのこと。

「蔵元自らが自蔵の酒と料理をペアリングさせる」をコンセプトに、創作和食のコース料理と、泉橋酒造の日本酒のペアリングを数種類楽しめます。

コース料理の進行に合わせて、それに合うワインを数種類提供する、いわゆる『ペアリング』の手法は、フレンチやイタリアンのレストランでよく見かけますよね。

最近では、日本料理や和食を提供する飲食店においても、食材と酒の『食べ合わせ』に対する意識は徐々に高まっているものと思います。

日本酒のペアリング、大いに結構じゃないですか。個人的には、ワインにおけるペアリングと同様に、いやもしかするとそれ以上に日本酒のペアリングは無限の可能性を秘めているのでは?と感じています。

というのも、日本酒にはワインにはない『お燗』という概念がありますからね。冷酒、常温、熱燗と幅広い温度帯で楽しむことの出来るのはワインにはない日本酒の強みです。

しかも泉橋酒造の日本酒は燗で映えるタイプのものが多いですから、これはもう楽しみなわけですよ!

いよいよペアリングタイム!『いづみ橋』と地元食材の変幻自在の組み合わせに身を委ねる贅沢なひととき

というわけで楽しみにしていたペアリングタイムです。最初のお酒は『いづみ橋 純米大吟醸 雄町 27BY』。なんと滑り出しからいきなりお燗です。
f:id:sakearchive:20171111144200j:image
あぁ甘露、心に染み入るような味わい。大吟醸でもしっかりと芯のある味わいはやはり『いづみ橋』ならではですね。

合わせるのは『新人参と南瓜のポタージュ』
f:id:sakearchive:20171111144226j:image
少し黒っぽいような緑の粉状のものは人参の葉だそうです。コースは和食一辺倒というわけではなく、ところどころで洋のエッセンスも散りばめられているようですね。

ポタージュのクリーミーさが『雄町』由来の酒のコクとぴったりとハマってます。

冷酒も少量いただいてみましたが、冷酒ではそこまでピタリとはまらないのが面白いですね。燗で雄町だからぴったりくるんだろうなぁ。

ポタージュをペロッと平らげて、お皿も美しい2品目は『太秋柿、蕪、コールラビ、青パパイヤ 自家製リコッタチーズの秋彩サラダ』です。
f:id:sakearchive:20171111144252j:image
これはまたずいぶんオシャレなサラダですね。上に乗っている半熟卵は白身と黄身の部分で分けて冷薫したそうです。リコッタチーズは自家製と言いますし、ずいぶんと手間隙がかかっていますね。

接客するスタッフの方の説明も立て板に水のように滑らかです。

サラダに入っているレタス、実は日本で初めて栽培されたのは海老名とのこと。チラ裏的なトリビアも勉強(?)になります。

サラダに対して合わせるお酒は『いづみ橋 秋とんぼ 純米吟醸 楽風舞 28BY』
f:id:sakearchive:20171111144308j:image
サラダとのペアリングでは冷酒で提供していただきました。

グラスはバルーン型で口にすぼまったタイプですね。

秋あがりのお酒らしく、柔らかい熟成感も感じられるのですが、『楽風舞』由来と思われる青っぽい爽やかな風味がサラダとマッチしていますね。

部分的に言えば、秋あがりの熟成感は冷燻の卵やリコッタチーズや柿と合致し、楽風舞の青々しさはその他の野菜と好タッグを組んでいる印象です。

かなり理詰めな組み合わせですね。よく試飲して、考え抜いた上で組み合わせを決めているのがよくわかります。

続いて3皿目はお造り。イシナギとヤリイカのお造りです。
f:id:sakearchive:20171111144326j:image
この撮影センスのなさである…。

ヤリイカのアップはこんな感じ。
f:id:sakearchive:20171111144347j:image
ネチッとコリっといい感じに美味です。自家製の梅山椒醤油で食べても美味しいですが、柚子塩もなかなかイケます。

こちらはイシナギのアップ。
f:id:sakearchive:20171111144404j:image
イシナギという魚は初めて聞きました!水分が多く鮮度落ちが早いお魚で、一般的にはあまり出回っていないそうです。

昆布〆でいただくと、ほどよく旨みも乗って美味しいですね。煎った肝もまた良し。刺身ひとつでも細部まで手がかかっています。

刺身に合わせたお酒は『いづみ橋 茜 黒とんぼ 生酛仕込み』
刺身をいただく前にちびりとやると「刺身に合わせるにはちょっと濃すぎるのでは?」と怪訝に思ったのですが、実際に食べ合わせてみるとしっくりくるものだから不思議です。

先輩氏は「実に考えさせられる皿だな」と唸っていました。

 

いやーそれにしてもここまででも結構な量のお酒を飲んでしまいました…!

気前よくおかわりまで注ぎに来てくださるものですから、調子に乗って飲むとすぐに出来上がってしまいます。正直なところこの辺りからお酒の味そこまで覚えてません…(-_-)

帰るころにはへべれけになってないだろうか?3皿目を終えた時点にして一抹の不安がよぎります(笑)

 

次の4品目は『佐島産・真だこの旨煮』原木なめこと菊の花の霙浸し添えです。

f:id:sakearchive:20171111144445j:image
真だこがこれでもかというぐらい柔らかく煮込まれています。

合わせるのは『いづみ橋 恵 青ラベル 28BY』。『いづみ橋』シリーズの中では、味わいとしては一番プレーンな中央寄りに位置するお酒だそうです。

スペシャリテの直前ということで、あえてワントーン落としてきている印象です。山と谷なら谷のペアリングといったところでしょうか。

 

こちらは本日のスペシャリテ『さんまの黄金煮』です。
f:id:sakearchive:20171111144504j:image
おぉこの美しいビジュアル!皿のチョイスが完璧です。丸々1本はなかなかボリュームがあります。結論から言うとこれが最高にうまかった。

濃密に煮ているのにどこか上品。骨も柔らかくなっているため、端から端まで余すことなく食べられます。ところで秋刀魚と梅、このセットはほとんど夫婦のようなものですね。

付け合わせにはさつまいも、枝豆、落花生、無花果、銀杏、そして稲穂をが添えてあります。これは何の稲穂だったんだろうか、ちょっと忘れてしまいました。米粒がうまく開くように素揚げするのって意外と難しいらしいですね。

ペアリングには『いづみ橋 桃色黒とんぼ 27BY』

個人的に泉橋酒造のお酒の中で一番好きなお酒です。コクをもたせつつ柔らかい味わいが甘く煮た秋刀魚に寄り添ってくれます。

お口直しに果実のグラニテを挟んで、次は『初せり、丹沢高原豚、鳴瀬牡蠣の酒潮煮』
f:id:sakearchive:20171111144601j:image
料理長の故郷・宮城のせりを使ったそうです。出汁は使ってないんだったか、牡蠣とせりの溢れる滋味をそのまま感じられるシンプルな一皿です。

薬味もいろいろ用意していただけます。
f:id:sakearchive:20171111144619j:image

合わせるは『いづみ橋 秋とんぼ 山田錦 生酛仕込み』。こちらはなんと27BYと28BYで飲み比べさせていただきました。
f:id:sakearchive:20171111144707j:image

『はらこめし』もオンテーブル。宮城県の郷土料理ですね。
f:id:sakearchive:20171111144744j:image
「よろしければ、酒潮煮と合わせてお召し上がりください」とのこと。

酒潮煮単体ではかなりあっさりな味わいが、はらこめしと一緒に食べることで旨さが倍増!そこに酒を流し込んで倍の倍!といった具合で、酒潮煮×はらこめし×秋とんぼのトリプルマリアージュ(?)を堪能しました。

コースのラスト。甘味は『晩秋の果実(姫林檎、洋梨、ピオーネ)のコンポート』。自社の梅酒『山田十郎』の香りを添えています。
f:id:sakearchive:20171111144818j:image
最後のペアリングは微発泡タイプの『夏ヤゴ にごり酒』をコンポートの器に直接注ぎます。大人のフルーツポンチですね。これが美味くないはずがない!

おわりに

というわけで『蔵元佳肴 いづみ橋』噂にたがわぬ素晴らしいお店でしたー。

ドラマのように展開していく極上のペアリングは、『いづみ橋』の良さを余すところなく引き出していますね。

ところで、今回は6000円のコース料理にプラスして3000円のペアリングをつけてもらったのですが、なんだかんだで4合近くの量を飲んでしまったような気がします…(笑)

といっても、今回出席したメンバーは全員飲んべえなので問題なくスイスイ飲みましたけどね。

今回のペアリングコースは燗酒が多く、酔いが優しく回ったのもよかったのでしょう。

お酒は好きだけどそこまで強くないという方はハーフサイズのペアリング(2000円)の方でもいいかもしれません。剛の者は迷わずフルサイズのペアリングでどうぞ。

まだ行ったことない、気になるという方は、酒蔵見学と併せて行ってみることをオススメします!

それではまた。

関連ランキング:懐石・会席料理 | 海老名駅

神奈川エリア(主に横浜市内)のオススメのお店はこちら↓

sakearchive.hatenablog.jp

sakearchive.hatenablog.jp

sakearchive.hatenablog.jp

sakearchive.hatenablog.jp

sakearchive.hatenablog.jp

sakearchive.hatenablog.jp

sakearchive.hatenablog.jp

sakearchive.hatenablog.jp

sakearchive.hatenablog.jp