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しーたかの日本酒アーカイブ

日本酒の魅力について、もっと語りたくなったからブログを始めたんだ

美の川酒造、廃業からブランド継続へ。最後の造り『良寛 純米吟醸 25BY』

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こんにちは、しーたかです。

今回紹介するのは新潟県・美の川酒造の『良寛 純米吟醸 25BY*1』です!
『良寛』もう飲めないかと思ってました。というのも、実はこの蔵はもう廃業してしまったのです。
お酒の紹介の前に、その辺のいきさつから紹介しようと思います。

青天の霹靂…美の川酒造の廃業 

ショッキングなニュースが舞い込んだのは2014年の夏だった。

新潟県長岡市の清酒蔵である『美の川酒造』が事業停止ーーー多額の負債を抱えた末、廃業に追い込まれたのだ。

最近は日本酒ブームなんて言われて久しいが、中小の酒蔵は苦しい経営を続けるところが多く、廃業する蔵が後をたたないのが現状です。

「えっあの美の川酒造が廃業…もったいない」

美の川酒造は『良寛』や『越の雄町』、『朱鷺(とき)』などの銘柄で知られる銘醸蔵でした。

f:id:sakearchive:20160414172031j:image

出典: http://www.naebasan-shop.com/s/item-detail/detail/i268.html

その高い酒質から、新潟清酒ファンからは一定の評価を得ていたように思います。全国新酒鑑評会でも11年間で8度も金賞を受賞した実績があります。

私は美の川酒造の熱心なファンというわけではなかったのですが、『良寛』や『越の雄町』はちょくちょく飲んでいたので残念な限りです。

 蔵が廃業してしまったので、これらの酒はもう飲めないものと思っていました。

残された在庫(日本酒)を苗場酒造が引き取り販売することに

が、そんな矢先の2015年に朗報が。

 
新潟県の苗場酒造が、美の川酒造の在庫を買い取り、販売することになったのです!
実際に苗場酒造のショッピングサイトで美の川の商品が販売されています!
 ひゃっはー!これでしばらくは美の川のお酒が楽しめる!!しかし、廃業してしまったため、今ある在庫限りなわけですが…。それでも何もないより全然いい。
 
美の川酒販店というサイトも開設されています。(※美の川酒販店は旧・美の川酒造の敷地で店舗販売していたようですが、2016年2月28日から休業に入っています)
こちらのサイトでは元・美の川酒造の蔵元さんのメッセージが載せられています。
平成26年6月に私の力不足から蔵を閉じた際には、大変多くの皆様にご迷惑をおかけ致しました。 心よりお詫び申し上げます。 以来、新たな気持ちで人生を歩もうと思いましたが、歳月を重ねるごとに日本酒への 思いは募るばかりとなりました。そこで、今まで育ててもらった日本酒に少しでも 恩返しができないかと思い、多くの方々の支えも頂いて、微力ながら啓蒙活動に 携わった矢先に、苗場酒造様から「美の川」復活のご支援を頂けるというお話を 頂きました。多くの思いが詰まった酒を「美の川」・「良寛」のブランドで再販売できるという、 まさに行幸であろうと思います。改めて感謝申し上げます。 大変微力ではありますが、長岡・宮原の地で醸されたこの酒を、 多くのお客様方に再度お試しを頂くこと、そしてこのブランドを守り、 残された酒を大切に売り切ることが次の世代にバトンを渡せなかった 自分の使命であると感じております。 何卒、今までと変わらぬご愛顧の程、宜しくお願い申し上げます。
 

元美の川酒造 蔵元 松本 英資 拝

朝日新聞で美の川酒造の記事を見つけました!

朝日新聞で美の川酒造の記事を見つけました。「蔵が廃業した→ハイ、おしまい」じゃあないんですよね。印象に残った部分を引用していきます。

www.asahi.com

江戸時代に創業し、一昨年に倒産した美の川(みのがわ)酒造の「最後の酒」が県内外で売られ始めた。「日本酒浪人」を自称する元経営者が「これだけは自分で売りたい」と自腹を切って保管してきた執念が実った形だ。

 自腹を切って保管!?凄まじい執念だ…。

あれだけ高品質な酒造りをしていたのだから、そのぶん酒に対する愛着もあるんだろうと思います。日本酒は赤ん坊を育てるように慈しみながら造るもの、なんてよく聞きますよね。

さて、引用を続けます。

資産管理は破産管財人に委ねられ、「朱鷺」などの商標も売却されたが、仕込んだ5百石の酒だけは大切にした。「蔵元が倒産すると酒は二束三文で買い取られ、適当な名をつけられたり、他の酒と混ぜられたりして売られる。それだけは避けたかった」。日本酒は温度変化で劣化する。弁当配達のアルバイトをしながら、月20万円の電気代を払って冷蔵を続けた。昨夏、津南町の苗場酒造が不動産とともに引き取り、販売も任せてくれた。 

 苗場酒造による再販売の裏にこんなエピソードがあったとは…。想像しただけで泣けますよ。月20万も冷蔵に電気代がかかって、その間の生活費は大丈夫だったのだろうか。

 あと地味に気になったのが、「資産管理は破産管財人に委ねられ」とあるが、廃業して残った日本酒が、資産として破産管財人の管理下におかれなかったのはなぜなのかということです。
てっきり、残った在庫は破産管財人によって換価されて、各債権者に金銭配当されるものと思っていたのですが、そういうわけでもないんですかね?さっぱりわからん…。詳しい人いらっしゃたら教えてほしいです。

 1年半の貯蔵を経た『良寛 純米吟醸 25BY』を頂きます。

百聞は一飲にしかず、ということで美の川酒造最後の酒『良寛 純米吟醸 25BY』を頂きます。

このさりげないラベルが渋いですね。

f:id:sakearchive:20160414150916j:image酒銘の『良寛』は江戸時代後期の曹洞宗のお坊さんの名前が由来だそうです。

良寛のエピソードについて、新潟県の出雲崎観光町協会のサイトから引用します。

良寛(1758~1831)
越後出雲崎に生まれ、詩人・歌人・書家としても知られる江戸時代後期の禅僧。良寛は俗名、号は大愚。幼名は山本栄蔵、15歳で元服し文孝と名乗りました。

生涯無欲恬淡な性格で、生涯寺を持たず、諸民に信頼され、良く教化に努めました。良寛自身、難しい説法を民衆に対しては行わず、自らの質素な生活を示す事や、簡単な言葉(格言)によって一般庶民に解り易く仏法を説きました。その姿勢は一般民衆のみならず、様々な人々の共感や信頼を得ることになりました。良寛は「子供の純真な心こそが誠の仏の心」と解釈し、子供達を愛し積極的に遊んだと云われ、高名な人物からの書の依頼は断る傾向がありましたが、子供達から凧に文字を書いて欲しいと頼まれた時には喜んで書いたと云われています。

また戒律の厳しい禅宗の僧侶でありながら般若湯(酒)を好み、良寛を慕う民と頻繁に杯を交わしたそうです。これも形に捉われない良寛の魅力ではないかと思われます。

すべての生きものに愛をそそぎ、老若男女、富者貧者を問わず等しく交流し、人としてどうあるべきかを常に問いかけた良寛の心は、現代にも共通する心として多くの人に共感をあたえています。

実際に飲んでみます。柔らかい香りと口当たり。ほどよい旨みが心地よい。1年半の熟成のたまものか、干したシイタケのようなニュアンスも感じます。

山菜の天ぷらや平目の昆布締め、もしくはあっさりとした煮物に合わせて飲んでみたい味。新潟の郷土料理の「のっぺ汁」なんかは特に相性がよさそうです。

うーん旨い!香りや味に特大のインパクトがあるわけではないのに、なぜか心に染み渡るお酒です。この印象は、まさに良寛の人となりと重なるようですね。

苗場酒造が美の川の『良寛』ブランドを継承!

『良寛』良くできた酒です。『良寛』のみならず、美の川酒造が築いてきたブランドがこのまま忘れられてしまうのは非常に惜しい…。

なんて思っていたのですが、なんと苗場酒造が『良寛』ブランドを造ることになったようです!!

f:id:sakearchive:20160414161608j:image出典: 越後 美の川 - 長岡市・佐田酒店さんから頂きました。 あと2日!! | Facebook

 いやーこれは朗報ですね!

元・美の川酒造の蔵元さんと苗場酒造さんで打ち合わせをして、かつての『良寛』の味を継承するような造りにしたとか。ラベルも以前の『良寛』と同じものを踏襲しています。嬉しいですね、こーゆうの。

 Facebook情報ですと2016年4月15日から発売開始のようです。

www.facebook.com

出来れば今年だけじゃなくてずっと続けてほしいよなぁ。 どこかで飲む機会があったらレビューしたいと思います。

それではまた!

 

*1:brewery year(ブリュワリー・イヤー)のこと。ビーワイと読むのが一般的。醸造年度とも言い替えられる。日本酒業界は、7月1日から翌年の6月30日までを一つの年度として数えている。たとえば、2015年の7月1日から2016年6月30日までに造られた日本酒は27BYという具合になる。個人的には西暦で数えたほうが良いのではないかと思っているが、どうだろうか。