こんにちは、しーたかです。
今回は横浜の『お酒とお米 おちょこ』さんでいただいたお酒を。
福島県の『にいだしぜんしゅ 生酛 しぼり生』を紹介します。
郡山市の仁井田本家のお酒です。人気銘柄揃いの福島の中でも徐々に存在感を増してきているこちらの酒蔵さんは、首都圏では、今回いただく『にいだしぜんしゅ』や『穏(おだやか)』というブランドで浸透しています。
銘柄のネーミングから想像できる通り、仁井田本家では自然酒というジャンルのお酒造りに拘っています。詳しい説明は酒蔵さんのホームページから少し引用します。
仁井田本家は、2011 年の創業300 年を機に、自然米100%・純米100%の酒造りに移行、 さらに2013 年から醸造用乳酸の使用をやめ、自然派酒母100%の酒造りを行っています。 そしてこの度、自然酒発売50 周年を機に自然酒ブランドを装いも新たに一新する事と いたしました。
https://www.kinpou.co.jp/products/shizensyu_renewal.html より引用
以前は『金寶自然酒』という名前で親しまれていたのですが、自然酒発売50周年を機に『にいだしぜんしゅ』へとブランドを移行したそうです。
原料・製法ともにナチュラル志向を貫く酒蔵さんは、全国で見てもかなり希少な存在ですね。
ワインの分野では自然派ワインなんて言葉が一般に通用していますが、自然酒というワード自体はまだまだ一般には通用しておらず、「自然酒ってなんだ?自然じゃない酒があるのか?」と首を傾げる方も多くいらっしゃるかもしれません。
個人的にこの「自然酒」というワードについては、「より自然に近いお酒」といったニュアンスでとらえるのがいいのかなと今のところ思っています。
他の酒蔵さんのお酒だって、まぁ言って見れば自然な酒なわけですよ。農家さんが丹精込めて作ったお米を、微生物の力を借りて醸すわけですから。自然な営みの結果、発酵したお酒が「自然」ではないのか?そういうわけではないと思うんですよね。
仁井田本家が標榜する自然酒という概念を掘り下げると「体にいいお酒を造る」というコンセプトに行きつきます。
自社田や契約農家で栽培するお米のすべてを無農薬・化学肥料無使用にする。そうすることで収量を犠牲にする代わりに、より良質なお米を収穫し、体に優しいお酒を造る。
個人的にはこの仁井田本家のナチュラル志向には非常にシンパシーを感じますね~。
『にいだしぜんしゅ 生酛 しぼり生』 驚くほどピュアな味わい。どこまでも優しい甘みで自然と笑顔になれるいいお酒だなぁ。
『にいだしぜんしゅ 生酛 しぼり生』の裏ラベルはこちら。
スペック表も貼っておきます。
原材料 | 米(国産)、米糀(国産米) |
原料米 | 全量自然米(無化学・無農薬栽培米) |
精米歩合 | 80% |
アルコール分 | 16.5度 |
生酛造りで精米歩合は80%と聞くと「どれほど濃ゆい味わいなんだろう」と色々想像してしまいますね(笑)
しかも今回は、仁井田本家として初の酵母無添加にチャレンジしたそうです。トラディショナルな製法の生酛造りでも培養した酵母を添加するのが一般的なところ、そこを一つ越えてきましたね。
蔵に棲んでいる野生の酵母により自然に発酵を進めるという意味では、まさに「自然酒」と呼ぶにふさわしいと思います。
それではいただいてみましょう。
グラスに口を近づけると、バナナや素朴な米の香りがします。生酒ですけど、やはり香りは穏やかですね。
口に含むと、桃や洋梨を思わせる含み香とともに、優しい甘旨みが舌の上に乗ってききます。親しみやすく柔らかいテクスチャーに思わず頬が緩んでしまいますね~。
思っていた以上にピュアな飲み心地に驚きました。言われなければ精米歩合80%の生酛だとは思いませんよ、これは。
とろんと口のなかで膨らむ味わい。田舎育ちの天真爛漫な女性的なよさがありますね!
生酒ならではの溌剌としてあどけない味わいも、いい方向に作用している印象です。
お米の優しい部分だけ引き出したようなピュアな味わいの『にいだしぜんしゅ』、ぜひ次回は火入れのお酒もいただいてみたいところです。
【追記】2019年は樽熟バージョンの『にいだしぜんしゅ 生酛 たるざけ 生詰 蔵つき酵母』をいただきました。ぜひこちらもご覧ください。
それではまた。
「自然酒」と言えば、千葉県の寺田本家のお酒にも触れないわけにはいきません。酵母無添加の生酛造りで醸した『香取 純米 自然酒 90』の記事はコチラ↓