しーたかの日本酒アーカイブ

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新潟県『じゃんげ 黄蛇 香辛 純米吟醸 火入れ原酒』蛇も逃げ出す大辛口!想天坊が挑む「香る辛口」の新境地。

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こんにちは、しーたか(@s_sakearchive)です。

今回は『じゃんげ 黄蛇 香辛 純米吟醸 火入れ原酒』を紹介します。新潟県長岡市の河忠酒造のお酒です。f:id:sakearchive:20260331203701j:image
新潟の日本酒といえば、ファーストインプレッションからアフターにかけて、徹頭徹尾するする飲める淡麗辛口が代名詞。しかし、今回紹介する河忠酒造のお酒は、酒質はズバリ大辛口、それもかなりシリアスに辛い。旨みも程よく乗ってガツンとキレる。全国的にみてもかなりドライなテイストに振り切っており、非常にキャラが立っております。

河忠酒造の主力銘柄は『想天坊(そうてんぼう)』。全国的な知名度はそれほどでもないかもしれない。でも、熱心なファンは本当に多い印象です。かくいう私も個人的にけっこう好きな銘柄でして、居酒屋などのメニューで見かけると高確率で頼んでしまいますし、『にいがた酒の陣』に参戦する際は必ずブースに立ち寄ることにしています。

そんな想天坊のセカンドブランドが、今回取り上げる『じゃんげ』です。漢字では『蛇逃』と書きます。

その名の由来は、蔵の裏手、西山山中にある高さ約20mの大滝・蛇逃の滝から来ています。この滝には二つの伝説が伝わっており、ひとつは「水勢があまりに激しく、蛇すら寄り付かない」という説。もうひとつは「滝のそばに住む大蛇が、黒猫との争いに負けて逃げ出した」という、猫が強すぎるのか、蛇が弱すぎるのか…ちょっとユーモラスな説も。自分は後者の説を推そうと思います(笑)

辛口の日本酒といえば古くから、鬼殺しというネーミングが定番ですが、この地元の逸話を重ね合わせ、鬼をも殺す、ならぬ、蛇も逃げ出す辛さとして命名されたのが『じゃんげ』というわけですね。

じゃんげシリーズの味わいを一言で表すなら、超辛口の中に潜む旨み。日本酒度が+10〜+20超えというスペックだけを見れば極めてドライですが、実際に口にすると、米由来の甘みやコクがしっかりと底に感じられる。ただ辛いだけじゃないのが、この銘柄の真骨頂でしょう。

『じゃんげ 黄蛇 香辛 純米吟醸 火入れ原酒』の裏ラベルはこちら。f:id:sakearchive:20260331203800j:image
スペック表も貼っておきます。

原材料 米(国産)、米麹(国産米)
原料米 新潟県産米 100%使用
精米歩合 58%
日本酒度 +10
酸度 1.7
アルコール分 16.5度

「そういえばこの『じゃんげ』は初めて見るかも?」と思って調べてみると、今年2026年に初リリースされた新商品のようです。火入れだし、おそらく通年商品なのかな?

これまでのじゃんげシリーズは、極辛口の生酒が主流でした。しかし、今回リリースされた『黄蛇』は、吟醸酵母を使用した香る辛口として新たに挑戦した銘柄とのこと。裏ラベルには、蔵元の並々ならぬ決意がこう綴られています。

吟醸酒向けの酵母はリンゴ様の華やかな香りを多く生成しますが、発酵力がやや低めである事から、辛口造りには難しい試みである事を承知の上で挑戦いたしました。香味調和のとれた仕上がりとなり、蔵出しいたします。

日本酒造りにおいて、華やかな香りと極限の辛さを両立させるのは至難の業。発酵力が弱い酵母でどこまでドライに振り切れたのか。期待が高まりますね。

それではいただいてみましょう。

グラスに注いで香りを確かめると、リンゴを思わせるフルーティーなニュアンス。といっても、昨今の華やかすぎる吟醸酒のようにガッツリ香るわけではありません。控えめでありながらも、たしかな艶を感じさせる上品なアロマです。

口に含むと…おお、極めてクリアで、文句なしの大辛口です。非常に洗練されたドライさですね。香る辛口というコンセプト通り、軽やかで爽やかな果実香が前面に出つつも、じゃんげ本来のシャープなキレを全く損なっていません。スッキリと入ってきて、後口は凛と引き締まる。

アルコール分は16度ですが、原酒ならではのガツンとしたパンチもしっかりとあり、飲みごたえは抜群です。吟醸酵母の華やかさと、超辛口のキレ。一見相反する要素が、口の中で見事に調和しています。香りとキレは、一体となって剥離することはない。この香味のバランスが素晴らしいですよね。

従来の極辛口ファンも納得の出来栄えでありながら、今まで辛口が苦手だった人にもおすすめできるような、絶妙な間口の広さも持ち合わせています。

『雨後の月』や『大信州』あたりが好きな方は試してみてもいいかも?あまりハードルを上げすぎてがっかりされるのも困るのだが、方向性としては大筋間違いではないと思うよ。

おわりに

そんなわけで今回いただいた『じゃんげ 黄蛇 香辛 純米吟醸 火入れ原酒』、これは間違いなく想天坊の新境地と呼べる一本でしょう。

吟醸酵母を辛口で活かすという難しい挑戦を見事に成功させています。温度帯としては、キリッと冷やして、艶のある香りと研ぎ澄まされたドライ感を楽しむのが一番いいでしょう。

今年初リリースということで売れ行きはどうなんでしょうね?反応が良ければこれをベースに別銘柄を立てても面白いかも、なんて妄想も捗ります。

それではまた。

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