しーたかの日本酒アーカイブ

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新潟県『鶴齢 若緑色 春陽』これが鶴齢!?これはちょっとブラインドではわからない。春陽の支配的な個性が際立つ1本です。

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こんにちは、しーたか(@s_sakearchive)です。

魚沼の地酒『鶴齢(かくれい)』。新潟といえば淡麗辛口のイメージが根強いですが、鶴齢はそこからちょっと外れたところにいる蔵で、米の旨みをしっかり引き出した、いわゆる芳醇旨口タイプの酒を造っています。自分はもともとこういう路線が好きなのか、気がつくとよく手が伸びてしまう銘柄のひとつです。

中でも個人的に気に入っているのが、特別純米生原酒の米違いシリーズ。定番の五百万石、越淡麗、雄町と、どの米を使ってもその個性を絶妙なさじ加減で捉えてくるんですよね。飲むたびに「あぁ、やっぱり旨いな〜」と唸らされる、間違いのないシリーズです。

そんな青木酒造が新たな挑戦として展開する「風味絶佳(ふうみぜっか)」シリーズから、今回はその第2弾『鶴齢 若緑色(わかみどりいろ) 春陽』をいただきます。f:id:sakearchive:20260202103159j:image
今回使われている米は「春陽(しゅんよう)」。低グルテリン米、いわゆる低タンパクのお米です。タンパク質が少ない分、雑味が出にくくクリアな酒質になりやすい性質を持っています。もともとは糖尿病や腎臓病でタンパク質制限のある患者向けに開発された米なのですが、それが巡り巡って日本酒造りにも使われているというのが、なんとも面白い話ですよね。

裏ラベルはこちら
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スペック表はこちら

原材料 米(国産)、米麹(国産米)
原料米 春陽
精米歩合 非公開
アルコール度数 13度

アルコール度数は13度と、『鶴齢』としてはかなり攻めた低アル設計。いつもの『鶴齢』とは明らかに異なるアプローチで造られたお酒です。商品名の「若緑色」は、厳しい冬を耐えて芽吹く新芽の色から取ったものだそうです。

『鶴齢 若緑色 春陽』の味わいは?

グラスに注ぐと、透明感のあるクリスタルな輝き。

香りは、ライチのような果実の甘いニュアンス。うんうん、やはり春陽ならではの爽やかな香り。やはり普通の日本酒では出ない香りですよね。

口に含むんだ味わいの第一印象は、クリアで凛とした甘み。上立ち香で感じたライチ様のニュアンスは、口中でマスカット様の含み香へとゆるやかに変わっていきます。

おそらく低精米のお酒だと思うのですが、それを感じさせないほど雑味がない。舌の上をすっと抵抗なく滑っていく、流線的とでも言いたくなるようなすっきりした酒質ですね。

アルコール度数13度なりに軽く、フィニッシュは白ワインのような爽やかな香気や余韻が長く続きます。非常にモダンで、洗練されていますね。お酒単体としてよくまとまっていて完成度は極めて高いと思います。

ただ、品質の高さに唸りつつも「これは鶴齢であって鶴齢ではないな」という気持ちが正直なところ。『鶴齢』ファンなら伝わると思いますが、あのトレードマークともいえるセメダイン香、そして『鶴齢』を旨口たらしめているコク、それがこのお酒にはまるで見当たりません。良くも悪くも個性的だったあの鶴齢らしさが、綺麗さっぱり影を潜めてしまっています。

もしこれをブラインドテイスティングで出されたら、『鶴齢』であるとすぐに気づけるだろうか?いや、多分無理(笑)

それくらい、従来の鶴齢のイメージを覆す一本でした。「鶴齢でこんな表現もできるのか」という驚きはあるものの、正直なところ春陽という米の個性が強すぎて、蔵のカラーよりも米のカラーが前に出てしまっている印象です。

おわりに

そんなわけで今回いただいた『鶴齢 若緑色 春陽』、従来の鶴齢の延長線上にあるお酒と思って飲むと、少し戸惑うかもしれません。しかし、色々言いましたけど、ブランドの固定観念を外して飲めば、これほど面白く、完成度の高いお酒もそうないでしょう。

あくまで本流とは異なるオプション的な位置づけの実験作かもしれませんが、そのクオリティは本物です。『鶴齢』の百面相をお楽しみあれ。

それではまた!

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