こんにちは、しーたか(@s_sakearchive)です。
今回は石川県・松浦酒造の『獅子の里 純米酒』を取り上げます。
松浦酒造は石川県加賀市の山中温泉にある蔵で、創業は安永元年(1772年)。仕込み水には山中温泉の超軟水を使っています。全量純米仕込みで知られる食中酒志向の蔵です。『獅子の里』を飲むのは久しぶりですね。
なぜ久々に手を伸ばしたかというと、先日発売された『日本酒dancyu vol.3 心ふるえる酒2026』がきっかけです。
この本を読んでいたら、『獅子の里』についての酒評に、透明感というキーワードが使われていたんですよね。正直、「ん??」と思いました。『獅子の里』に対して透明感がキーワードになるという認識が自分の中にまったくなかったからです。
個人的に獅子の里の本領は、米の旨みや後味に効いてくる酸味、そしてキレにあると思っています。『超辛純米』やスパークリングタイプの『鮮』あたりは結構イケてる印象で、どちらかといえばキレや旨み寄りの酒質じゃないの?って。透明感、というのはちょっと意外に感じられたのです。
もっとも筆者が飲んでいたのは大吟醸だったようなので、その点は差し引いて考える必要があります。本当は同じ大吟醸を試せればよかったのですが、今回はとりあえずレギュラーの純米酒で確かめてみることに。まぁでも、もし透明感が味わいの根幹にあるのなら、定番の純米酒にもその片鱗は必ずあるはずです。
裏ラベルはこちら。
スペック表も貼っておきます。
| 原材料 | 米(国産)、米麹(国産米) |
| 原料米 | 山形県産 出羽燦々 |
| 精米歩合 | 65% |
| アルコール分 | 15度 |
香りはバナナ系の穏やかな甘さと、酢酸エチル系のニュアンス。華やかさはなく、あくまで食事の邪魔をしない設計。獅子の里らしいなという印象です。
口に含むと、まず米の旨みがしっかり来る。この味わいの感じだと、濾過も最小限に抑えているんじゃないかという気がします。若干ざらっとしたテクスチャーがあって、いい意味で磨きすぎていない。酸味と苦味がしっかり効いていて、味の輪郭がはっきりしている酒です。
冷酒でもうまいんですが、燗をつけてみたら、これがまた良い。旨みがふわっと膨らんで、酸味の角が取れてまろやかになる。明らかに燗上がりする酒質です。それが『獅子の里』の本質だと、改めて思いました。
で、dancyuで言われていた透明感はどうだったか。正直に言えば、この純米酒に関しては、透明感が第一印象に来る酒ではありません。むしろ米の旨みの存在感や、酸味・苦味のメリハリのほうが強い。ただ、超軟水仕込みゆえの口当たりの柔らかさや、後味のキレの良さの中に、透明感と呼べなくもない要素はある気もします。大吟醸だとそこがもっと前面に出てくるのかもしれませんね。
温度帯は冷酒から燗まで幅広く楽しめますが、本領はやはり常温から燗でしょう。ぬる燗から上燗あたりで旨みが一番膨らみます。
食中酒としての実力は折り紙つきで、脂の乗った焼き魚や煮物、揚げ物あたりとの相性が抜群だ。酸味と苦味が口の中をしっかりリセットしてくれるので、食べ疲れ・飲み疲れしにくい。毎日の晩酌に寄り添う、実直な一本です。
おわりに
『獅子の里 純米酒』は、dancyuの透明感という一言に触発されて、久しぶりに手に取った一本でした。
結果として、この純米酒から感じたのは透明感というよりも、やはり米の旨みと酸味・苦味のメリハリ、そして燗上がりする酒質の良さ。自分の中の『獅子の里』像が覆されることはなかったけれど、改めて飲み直してみると、やっぱりうまい酒はうまいなと。超軟水が生む口当たりの柔らかさには、たしかに、透明感の芽のようなものがあったのも事実です。次はぜひ大吟醸を飲んでみたいところですね。
shishinosato.thebase.inそれではまた。
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