しーたかの日本酒アーカイブ

日本酒の魅力について、もっと語りたくなったからブログを始めたんだ

日本酒は熟成させるほど旨くなる!?「熟成古酒ルネッサンス2016」に行ってきました!

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こんにちは、しーたかです。
先日、少しマニアックな日本酒イベントに行ってきました。

その名も「熟成古酒ルネッサンス2016」

日本酒の古酒を扱った、試飲会形式のイベントです。主催は長期熟成酒研究会。

みなさんは日本酒の古酒を飲んだことがあるでしょうか?
古酒はいいですよ~!正しい管理の下で熟成された日本酒は味に深みが出てまろやかになります。

一方で、熟成を経た日本酒は一般に「日本酒は製造されてからなるべく早く飲むもの」だと思われがちであり、古酒の魅力についてまだまだ正しく評価されていないのが現状です。

これは非常にもったいない。先入観を捨てて、時間という軸が造る古酒の世界にダイブしようじゃありませんか。

というわけで熟成古酒ルネッサンス会場に潜入。

 さあ来ましたよ、。熟成古酒ルネッサンス。f:id:sakearchive:20160421144916j:imageこの日の会場は渋谷のシダックスホール。それほど大きい会場ではありませんが、お客さんは結構入っています。
 

イベントを主催する長期熟成酒研究会の幕f:id:sakearchive:20160421144946j:image長期熟成酒委員会とは、日本酒の熟成古酒の普及と製造技術の向上を主な目的として、小売店、酒販店、流通業者、酒造会社によって設立された団体です。関東最大級の日本酒イベント『日本酒フェア』にも毎年出展していますね。

 
さて一発目の試飲は百々登勢(モモトセ)10年古酒!石川県の『加賀鳶』で有名な福光屋さんの商品です。十年の熟成を経て黄金色に色づいています。
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酒銘の百々登勢(モモトセ)とは、百年を意味する大和言葉だそうです。福光屋さんの蔵では地元・白山の伏流水を仕込み水で使っています。白山に降り注いだ雨が地下深くまで滲みこんで、砂礫層(されきそう)を流れ、酒造りに最適な水質になるまでおよそ100年の歳月を経ていることから、酒銘にしたそうです。自然への敬意が感じられるエピソード、私こういうの大好物です(笑)
 
続いて福井県の『花垣』のブースへ
こちらは貴醸酒を熟成させた『貴醸年譜』シリーズ。1年、3年、7年熟成とあります。f:id:sakearchive:20160421145031j:image
貴醸酒とは、日本酒の1種で、酒造りに使われる仕込み水の一部または全部の代わりに日本酒で仕込んだものをいいます。普通、水で仕込むところを日本酒を使って仕込んでいるので、やはりコストはかかってしまいますが、味わいは甘く濃醇なものになります。
貴醸年譜シリーズは3年古酒と7年古酒の違いがハッキリしていました。3年古酒は後味にすっきりした感じが残っていますが、7年古酒となると見た目通りのかなり濃醇な味わいです。
 
その他に大吟醸の10年古酒も出品。このブースだけで8種類ぐらい古酒を飲み比べることができました。『花垣』を造る南部酒造さんは日本酒の熟成にもかなり力を入れています。
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こちらは朝日川の江戸の仕込再現シリーズの2003ヴィンテージです。凄まじい色! f:id:sakearchive:20160421145058j:image
江戸の仕込み再現というのは、江戸時代の日本酒を再現しようという試みのことだそうです。江戸時代の日本酒は現代飲まれている日本酒と比べてかなり濃醇な味わいだったと言われます。技術や製法、嗜好や流通など様々な要因がありますが、ここでは割愛しましょう。
色の割りには飲みやすい味でした。わきに麦チョコが用意されているのは「この酒に合うから」とのこと。確かに麦チョコが妙に合う…(笑)このブースだけではなくて、他のブースでもチョコをつまみに用意しているブースが多かったです。日本酒は、熟成するとカカオのような風味を持つものもあるのでチョコもつまみとして成立するんですねー。
 
こちらは宮城県『一の蔵』のブース。『一の蔵 招膳』をいただきます。
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古酒は濃醇なタイプの味わいのものが多いため、合わせる料理が限られてしまいがち。その点、この『一の蔵 招膳』は食中酒として楽しめるように酒質設計されているので、幅広い料理と合わせられるのが良いところです。
 
次は和歌山県『黒牛』のブースへ。『黒牛』ブースはなんと2種類とも生酒の古酒で勝負!
 
生酒は加熱殺菌をしていないため、品質が変化しやすく管理が難しいデリケートな日本酒です。そのため生酒は熟成にも不向きと言われていますが、モノを選んで(これには目利きが必要)しっかり管理すれば上手く熟成させることは可能です。
とはいえ、やはり生酒を熟成させるとなると、劣化のリスクが伴うことや、酒販店や消費者の理解を得られるかどうかという点などから、多くの日本酒蔵は生酒の熟成に消極的であるように思います。ハッキリいえばコストがかかってめんどくさい上にリターンが少ないですからね。
そういった背景がありますので、生酒の熟成を自前でやっていらっしゃる『黒牛』の名手酒造店さんには個人的に好感を抱いています。
 
写真は純米の中取り無濾過生原酒。
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和三盆のような甘さ、それでいて濃密、数年の熟成を経てさらに旨みが乗っています。
『黒牛』は以前紹介しましたね。よろしければこちらもぜひ↓

 

sakearchive.hatenablog.jp

 

兵庫の『龍力』ブースへ。こちらは長期熟成酒 J・SALIQ。
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こちらはなんとシェリー樽で熟成させたお酒です!日本酒の古酒はシェリーのオロロソのような味がするものもありますので、シェリー樽とも相性がいいんだろうと思います。
古酒にしてはやや酸味が強く、シェリー樽由来の個性を獲得した逸品です!日本酒ではなくリキュール扱いなのはシェリーの成分も混じっているからなのでしょうか?ブースで聞いておけばよかったな…。
 
こちらは達磨(ダルマ)正宗。ヴィンテージ違いがずらりと並んでいます。うーん、ありそうでないバースデーヴィンテージ(笑)
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こちらはギフト用なのか、熟成年数ごとに小瓶に分けられています。ダルマが渋かわいい。
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こちらは『奥の松』の1988年特別純米古酒
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酸味、苦味、渋味が甘さと一緒に溶け込んでいるような味わいです。まさに円熟の境地!
 
こちらは酒販店のブース。『寝越庵(ねごしあん)』という銘柄です。
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この寝越庵シリーズは、他所の蔵から買い付けた酒を自前で熟成させるのがコンセプト。買い付けと熟成のセンスが問われますね。
以上の説明でワインラヴァーの方はもうピンときたかもしれません。『寝越庵』のネーミングはフランスのネゴシアンが由来だそうです。ネゴシアンはフランスではワインの酒商を意味します。ネゴシアンは契約農家からブドウを買い付けて、ワインを造ったり、他のワイン生産者からワインを買い付けて、自らのセラーで熟成させたりもする。これに近いことを日本酒でやっているのが寝越庵シリーズというわけです。
 
こちらは廃業してしまった東京都・渡辺酒造『吟雪』の寝越庵2002年ヴィンテージ
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こちらも酒販店ブース。神奈川県の『丹沢山 純米吟醸 雄町』16年の間冷蔵庫で熟成されていたそうです。 f:id:sakearchive:20160421145343j:image
まさか地元・神奈川の酒が飲めるとは思ってませんでした!
かなりイキイキした味わい。16年寝かせているのでそれなりにまろやかになっているものの、雄町の野性味は失われていません。ひょっとして飲み頃まだまだ先なんじゃないか?丹沢山という銘柄は今まで幾度となく飲んできましたが、これほどスケールの大きいものに巡り合ったのは初めてです。
 
こちらは新潟の『ゆきびじん 2012年仕込 熟成純米酒』
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新潟県の津南醸造さんの古酒です。なんでも新潟屋さんという新潟の酒と食のネットショップのPB商品なんですって。

津南醸造 2012年ビンテージ 熟成純米酒 ゆきびじん 720ml 商品詳細


飲んでみると、落ち着いた香りと、いかにも新潟らしい淡麗辛口な味わい。まったくトゲのないスムースな味わいは低温熟成の賜物。古酒が苦手な方でもスイスイ飲めそうです。
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ちなみにボトルの中央部の小窓を覗くと、津南の雪景色が見えるという粋な仕掛けが!
 
いやー大満足。ほろ酔いでイベント会場をあとにします。
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閉会30分前でもまだお客さんが入ってきててビックリしました。
少量しか飲んでいないのにかなりの満足感があります。これが古酒の魅力なのだろうか?少しの酒で満足できるということは健康にも良いですね。また行きたいイベントが増えてしまいました。来年も是非参加しよう。
それではまた。