こんにちは、日本酒イベント芸人のしーたかです。
今年も毎年楽しみにしている若手の夜明けに参加してきました!
若手の夜明けは若手の蔵元有志が主催する日本酒の試飲会イベントで、今回がついに20回目の開催となりました。
なんともう10年目のシーズンに突入した若手の夜明けですが、2017年はどうやら区切りの年になりそうなのだとか。
若手の夜明けの中心メンバーである山本典正氏が今季限りで引退しし、2018年からは新体制でスタートする、そんなニュースが今年早々にSAKETIMESで報じられていました。
そう、報じられていた…のですが、なぜか肝心の元記事が消されていますね…。どういう経緯で削除されたのかはよくわかりませんが、Internet Archiveで掘り出してきたので一応貼っておきます。
『若手の夜明け』会場入り。今回はいつもより控えめに回りました(笑)
会場のベルサール渋谷ガーデンに到着!もうすでにたくさんの人で賑わっています。
友人と合流し、まずは大分県の『ちえびじん』ブースへ。
写真右の『ちえびじん 純米吟醸 山田錦』は昨年ロバート・パーカー氏のワインアドヴォケートで90点の高評価。今年の出来もよく、美酒っぷりにますます磨きがかかっているように思います。
『ちえびじん 特別純米酒 八反錦おりがらみ』もジューシーかつ爽やかな印象でなかなかのお味。聞いたところによると、今年の八反錦おりがらみはいつもより『おり』の量が多めなんだとか。
細かいバージョンアップはあるのでしょうが、ちえびじんブースは毎年同じ商品で出展しているので、たまには変わり種というか違う酒も並べてくれると嬉しいなーと、そこだけが物足りない部分であります。
こちらは岐阜県の『津島屋』ブース。
津島屋は今年から北海道の酒米・吟風仕込みの純米酒リリース。こちらは生酒ですね。
津島屋のスラリとしたラインがより強調された感じですかね。いつもの津島屋より控えめな味わいです。
こちらも新発売の『津島屋 木漏れ日 特別純米無濾過生原酒』原料米に山田錦を使用。
液体の透明感と酸のバランスがウリの津島屋のラインナップの中では、旨みが強く出ている印象。香りは控えめで完全に食中酒タイプですね。
サラリとした味わいの吟風仕込みとは対照的な1本でした。両方とも言われなければ津島屋だとわからないかもしれません。良くも悪くも試行錯誤している様子が見てとれますが、チャレンジなくして酒質の向上はありえないので、どんどん新しい形で勝負してほしいですね!
続いてこちらは栃木県の『朝日榮』ブースへ。
朝日榮を醸す相良酒造さんは今回が若手の夜明け初参戦。今回は火入れの酒2種類と試験醸造の生酒の計3種類での出展です。
個人的にも初めて飲む銘柄ということもあって、張り切って全種試飲させていただきました!どのお酒も派手さはないものの、飲み終わったあとにしみじみいい酒だなぁという気持ちになれる、なかなかの水準にあるようにお見受けしました。同行した連れも「なかなかいいんでないですか?」とのこと。
この朝日榮という銘柄、あとで気になって調べてみると、蔵元のご息女が造っているお酒なんですね。経緯はこちらのブログ(マイ日本酒探しさん)の記事が詳しいので、気になる方はどうぞ。
こちらは栃木県『若駒』ブース
『若駒』ブースは異なる原料米で仕込んだ生原酒で勝負!色とりどりのボトルが鮮やかで目を引きますね。
幻の酒米・『亀の尾』仕込みのボトルもありましたが、写真を撮るのを忘れてしまいました…。
東北方面に行きます。こちらは宮城県の『黄金澤』ブース。
『黄金澤』を醸す川敬商店さんは、若手の夜明けにはちょくちょく出展しているものの、ここのお酒はじっくり飲んだことがないんですよね~。
写真中央、全国新酒鑑評会出品酒と同スペックの『黄金澤 大吟醸』はもちろん美味しかったのですが、個人的には『黄金澤 山廃純米』が気に入りました。ライトすぎず、しかし、くどすぎない絶妙のバランス。宮城県勢の山廃はおくゆかしい味わいで素晴らしいですね。
続いて宮城県の『乾坤一』ブース。
こちらのブースで目を引いたのは、写真の『乾坤一 純米酒 愛国』。
なんとヴィンテージ違いでお燗をつけてくれます。燗上がりするほっこりとした味わいでウマイ!
ご存じの方も多いと思いますが、『愛国』といえば幻の古代米と言われる品種で、明治時代に『亀の尾』、『神力』と並んで3大主力と言われていたお米です。
多収量で病害に強いことから、昭和初期までは重用されていたのですが、肝心の味が悪い(!)ことから次第に姿を消していきました。
一度は生産が途絶えた『愛国』。最近は酒米として復活させる蔵が少しずつ増えてきています。
代表的なところを挙げると、新潟県・弥彦酒造の『彌彦愛国』や静岡県・高嶋酒造の『白隠正宗 愛国純米酒 生酛造り』あたりが有名でしょうか。
昔の米を復活させたというロマン以上に、酒米そのものに魅力を感じますね。個人的には、西の方の酒と相性いいんじゃないかと思ったり思わなかったり。『愛国』ブーム全国的に広がらないかなぁと密かに期待しています。
こちらは高知県の『南』ブースです。
個人的に『南』はちょくちょく飲む機会がある銘柄。ここの蔵は火入れの酒より生酒の方が断然ウマイような気がします。特に無濾過生原酒ね。
写真は『南 純米大吟醸 生 兵庫山田錦』。旨みを全面に押し出したジューシーさがインパクト大な1本でした!
続いては熊本の『瑞鷹(ずいよう)』ブース。
『瑞鷹』ブースで一際注目を集めていたのは『崇薫 純米吟醸』
こちらも大分の『ちえびじん』同様、ロバートパーカー氏のワインアドヴォケートで91点という高い評価を受けています。
パーカー氏曰く、
マールボロのソーヴィニョン・ブランによく似たスタイル。摘みたての草、トマトの葉、柑橘、オレンジの花の香りが感じられ、辛口でキレがある。程よい凝縮感でバランスの良い味わいに仕上がっている。
ロバート・パーカー・ワイン・アドヴォケートが認めた 世界が憧れる日本酒78 より引用
とのこと。
全体的に清楚な印象ですが、西の酒らしく、細い線の中にも旨みが溶けこんでいます。初めて飲んだ銘柄ですが、なかなか好感触ですよ!
『瑞鷹』ブースでは、もう1本気に入った酒がありました。それが『瑞鷹 芳醇純米酒』。
口に含むと、ふわっとしたバニラやカカオのような香りとともにソフトな旨みが口の中に広がります。おぉーこれは面白い!先に飲んだ『崇薫』とは全く別のスタイルですが、こちらもなかなかの水準にありますよ!
しばしば「日本酒は東高西低」なんて声も聞こえてきますが、全然そんなことはないんですよねー。普段は東北の酒しか飲まないとう方も、ぜひ『瑞鷹』を試してみてほしいと思います。
おわりに
2017年一発目の『若手の夜明け』は大盛況のまま終了!この体制での開催も残り僅かとなってしまいました。うまく次の世代にバトンを繋いで末永く続くイベントになるといいなぁと思います。
それではまた!
2016年開催時の『若手の夜明け』イベントレポートはこちら!