こんにちは、しーたか(@s_sakearchive)です。
12月も後半戦に突入しましたね。北陸の酒蔵からも新酒の便りが続々と届いています。
今回ご紹介するのは、富山県南砺市・若鶴酒造の冬の季節商品。『苗加屋(のうかや) 冬の純吟 しぼりたて生』です。
苗加屋といえば、ドッシリとした甘旨味とキレの良さで、富山県の日本酒が好きな方なら知らぬ者はいない人気銘柄。同社の看板商品である純米吟醸の生酒(旧琳赤、琳青)は、一度は飲んだことがある方も多いのではないでしょうか。
で、今年のこの新酒の話に戻るのですが、実はこのお酒、蔵の大規模改修工事を経て醸された、記念すべき「新生・苗加屋」の第一号だそうです。
公式情報によると、昭和34年に完成した蔵の外観はそのままに、中身をごっそりとリニューアルしたのだとか。
空調設備や醸造機器を一新し、理想のお酒を造るための投資を行った新生蔵。その令和7醸造年度(R7BY)の最初のリリースとなるのが、この『冬の純吟』です。
大きな転換点を迎えた若鶴酒造の新酒ということで、個人的にはけっこう楽しみにしています。
『苗加屋 冬の純吟 しぼりたて生』の味わいは?
使用米は、地元・富山県生まれの酒造好適米「雄山錦(おやまにしき)」を100%使用。精米歩合は55%です。
| 原材料 | 米(国産)、米麹(国産米) |
| 原料米 | 富山県南砺産雄山錦100% |
| 精米歩合 | 55% |
| アルコール分 | 17度 |
さっそく開栓してみます。
グラスに注ぐと、うっすらとごく微量の滓(おり)が絡み、霞がかったような色合い。まさに無濾過生といった趣のある外観ですね。
香りは派手すぎない爽やかな青リンゴ系ですね。新酒らしい若々しさはありますが、ツンツンした感じはなく、どこか落ち着きのあるフルーティーさです。
口に含むと、たっぷりとした甘みがジューシーに広がります!ボディはミディアムとフルボディの中間ぐらいのボリューム感がありますね。
富山のお酒らしい骨格の太さを残しつつも、口の中で味が膨らむときに、独特の「ビブラート感」のような余韻を伴って響いてきます。無濾過生原酒特有の、味が幾重にも重なって波紋のように広がる感覚というんでしょうか。
リニューアルした設備のおかげか、以前よりもその響き方がよりクリアで力強くなったような気がします。
甘みと旨味は濃厚ですが、後半に感じるわずかな苦味が全体をキュッと引き締めてくれます。
アルコール度数は17度と高めなんですが、この苦味のアクセントとジューシーさのおかげで、重さを感じさせません。ていうか、度数の割には比較的軽く感じますね。
公式HPでは「富山の冬の主役 ブリや、紅ズワイガニなど旬の海鮮と合わせると更に美味しい」と紹介されていましたが、ブリよりは紅ズワイの方が合いそうかなという印象です。
おわりに
そんなわけで今回は『苗加屋 冬の純吟 しぼりたて生』をいただきました。
青リンゴの爽やかさと、無濾過らしいビブラート感を伴うジューシーな旨味。
蔵の中身をごっそりリニューアルしたという若鶴酒造の本気が、しっかりと酒質に反映されているのを感じました。
「私たちの理想のお酒を造るための投資」という蔵元の言葉に嘘偽りなし、ですね。これからの苗加屋がますます楽しみになる、素晴らしいスタートダッシュの一本でした。
こちらの新酒に限らず、酒屋さんで見かけたら、ぜひ「新生・苗加屋」の実力を確かめてみてください。
それではまた。
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