こんにちは、しーたかです。
今回は『Spice Drunker やぶや』にお邪魔しました。
関内駅から徒歩3分。イセザキモールの脇を入った路地にオープンした創作系のスパイス料理と日本酒のペアリングコース(8000円)をウリにしたお店です。しかも燗酒縛り。攻めてますね~。それにしても立地と業態のミスマッチ感がすごい。初見じゃ間違いなく通りすぎますね。
ワンオペで切り盛りする若い店主の方は名店・エリックサウスのオリジナルメンバー。浅草で間借り営業をしていた時期は食べログの百名店に選出されていたそうです。そんな有名店がなぜ縁も所縁もなさそうな関内に店を構えたのか、ますますもって謎ですね。
注意しておきたいのは、Facebook経由による完全予約制という点でしょう。緊急事態宣言下という事情もあり、17時に一斉スタートのお約束で予約を取り付けました。
開けてみれば17時ちょうどにお行儀よく着席していたのは私たちだけだったんですけどね。曰く電車の遅れとのこと。いやぁ白ける。一斉スタートのお店に訪問する際は、万難を排し余裕を持って臨みたいものです。一定の緊張感は最良のスパイスですからね。
待ち時間に『甲子』の立春朝搾りを振る舞ってくださいました。こちらは冷酒で。
基本は燗酒メインのお店ですが、オプションとしてビールや冷酒を注文することもできます。しかし、壁一面にコレクションされた常温酒を見てしまったら冷酒を飲む気にはなりませんな(笑)
まずは前菜の盛り合わせから。
なめことホタルイカのアチャール、アルティキのタマリンドソース掛け、ひよこ豆のホットサラダの3種。アチャールの鮮烈な辛さによりスパイスの洗礼を受けます。ホットサラダとタマリンドソースで一息付きつつ、ちまちまいただこう。
お酒は熱々につけた『にいだしぜんしゅ』のはつゆきを合わせます。はつゆきの燗ははじめて飲むなぁ。燗にする発想は自分にはなかった。一見脈略のなさそうに見える前菜をにいだしぜんしゅが媒介となって繋げていく。辛味、酸味を受け止めて昇華させる緩衝材兼着火材的な役割を担います。
2品目は『ホタテと鮟肝のベジマライソース』
野菜でとった出汁のソースにホタテ、山芋(長芋だったかも)、鮟肝を絡ませる1品。先のホタルイカもそうですが、スパイス料理のお店で海の幸が出てくるとは思いもよりませんでした。なかなか新鮮ですね。いい意味で土臭いまろやかなソースと『奥播磨』の山廃純米の穏やかでソフトな風味が寄りそいます。
それにしても、店主の方はワンオペで調理にお燗、接客まで滞りなくこなすのですから感心します。ただでさえ忙しいでしょうに、酒に加水したり、お燗を急冷したりと最大限に手を掛ける。狂気すら感じる。素晴らしい情熱です。
メインらしき料理は店主曰く『焼き豚』。写真ではあまり伝わりませんが、かなりデカイです。どうやら本気でかからなければならないようですな…!
豚肉のド直球の旨味とエッジの効いたスパイスの複雑な香味がたまらない1品。付け合わせの菜の花のサグ(?)はとろっとぬちゃっとしたテクスチャーで面白い。
合わせるお酒は、ペアリングを謳うお店では、親の顔より見た『伊根満開』。あの外観故に誤解されやすいですが、かなり使い回しの効くアイテムでしょう。「ソース代わりにどうぞ」もお決まりのフレーズで耳タコだ。お店側からすればインスタントにそれっぽく見せられる。重宝するアイテムなんだろうなぁ。いわば一種の麻薬のようなものだ。実際料理とはそこそこにマッチしていましたが、あくまでそこそこであり、考えに考えた果てに辿り着いたペアリングという感触は受けませんでしたね。ペアリングを唱い、自ら期待値を高くする以上、伏線はきっちりと回収せねばなりません。
〆の食事はおかわり自由の『ミールス』。しかし直前の焼豚の圧倒的物量に屈し、おかわりはかないませんでした。
ビーツのパチャディ、キャベツのトーレン、店主いわく「日本でいう味噌汁のような」と評するサンバル、鮮烈な酸味が特徴のラッサムと引き出しが豊富で素晴らしい。
合わせるお酒は『花巴』の水酛×水酛。甘酸っぱさがビーツのパチャディと特に同調しますね。『伊根満開』からの流れの良さも◎です。
ところでこの『ミールス』、門外漢で知らなかったのですが、ぐちゃぐちゃに混ぜて食べるのが正解らしいですね。隣の常連さんの様子を見ておそるおそる混ぜてみる。いわく「混ぜ方が足りないね~」とのこと。ミールス汚れなく、道険しです…。
黒板には『ミールス』と同じタイミングで注文出来るオプションメニューが記載されています。
せっかくなので『チッチちゃんのキーマカレー』を追加でいただきました。お子さまランチ風な旗に描かれているのがチッチちゃんだそうです。チッチちゃん誰それ?ふーん、エッチじゃん(by○前リョーマ)の亜種か?
何でも店主が出演しているテレビ番組・スパイストラベラーの企画で生まれたカレーだそうです。今、サラッと凄いこと言いましたね?ちなみにチッチちゃんはアイドル、裏にはDragon Ashの桜井さんが描かれていました。
名前を失念しました。サービスで出していただいた香りのいい謎のお茶で〆ます。ご馳走様でした。
おわりに
そんなわけで今回お邪魔した『Spice Drunker やぶや』、インド料理を巧みに再構築したコースと燗酒のペアリングがしっくりハマるお店でした。
この日のお会計は2名で19250円。引き出し豊富で手の込んだ料理と酒のセットでこの金額は非常に納得感があります。スパイス料理(?)について詳しくなくても楽しめるのは店主のプレゼンスキルの高さの賜物ですね~。
とはいえ、経験値を深めてからお邪魔した方がより楽しめるのは間違いないでしょう。実際この日のお客さんはよく訓練された常連らしいスパイスマニアしかおらず、丸腰でフラッとやってきた素人は私たちだけでした(笑)
店主と常連の会話の半分ぐらいは何語をしゃべってんのかわからなかったもんね。そんなわけでスパイスリテラシーを高められそうなお店を絶賛募集中です。
それではまた。
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