こんにちは、しーたか(@s_sakearchive)です。
「能登はやさしや、土までも」
能登を語る際によく使われる言葉ですが、私は思うんですよ。やさしいのは、土だけじゃない。能登の「酒」もまた、どこまでもやさしいのだ、と。
今回は、『竹葉 しぼりたて生原酒』をご紹介します。
石川県能登町の数馬酒造のお酒です。『竹葉』といえば、私は『竹葉 能登純米』が大好きです。穏やかで優しく、繊細で丸みのある味わいで、冷酒で飲んでも燗にしてもめっぽう旨い。能登のお酒で言えば『奥能登の白菊』あたりもそうですけど、癒し系の味ですよね。
実を言うと、私はこの蔵に対して少しだけ特別な思い出があります。
話は10年ほど前に遡ります。当時購入したお酒の原料米について、少し気にかかる点がありました。
調べてもよくわからなかったので、酒蔵に直接聞いてみよう!と思い経ち、電話で問い合わせたことがあったんです。…今思えばイチ消費者の取るに足らない疑問を解消するためだけに人の時間を奪うなよ…という気もしますが。
その時は、電話番をしていたおばあちゃんが対応してくださいました。
「今わかるものがいないので、戻ってきてからでもよろしいですか?」
「急ぎじゃないので、いつでも大丈夫ですよ」
こんなやりとりをしてから20分ぐらいが経ち、知らない番号から電話がかかってきました。蔵の人かな?なんて思って出たところ、
なんと、電話の主は、米農家の方だったんです。電話先の主は数馬酒造の社長さんと同級生であり、タッグを組んでお米を生産している裏(うら)さん。おばあちゃんが気を利かせてくれたんでしょう、裏さんから私の携帯に直接電話がかかってきたんです。しかも、わざわざ農作業の途中にですよ。
恐縮も恐縮。えっ、そこまでしてくれるの……?と、本当に驚きました。
質問に対してどこまでも真摯で、誠実な対応。酒蔵の方も、農家の方も、この一杯にどれだけの想いを込めているのか。その熱量に触れたとき、「そりゃ旨い酒ができるわけだ」と心の底から納得したのを覚えています。
今も『竹葉』を飲むたびに、あの時の電話を思い出します。おばあちゃん、裏さん、今日も美味しくいただきますね。
『竹葉 しぼりたて生原酒』の味わいは?
原料には能登産米を100%使用。もちろん生産者は例の裏さんです。精米歩合67%の普通酒ないし本醸造クラスながら、その完成度は特筆に値します。
まずは香りから。みずみずしい果実のニュアンスが、しぼりたてならではのフレッシュさとともに立ち上がります。
数馬酒造の公式HPの商品説明にもありますが、どこかバナナや上新粉のようなふんわりとした上品な甘香が心地よいですね。
口に含むと、圧倒的な透明感に驚かされます。えっ…?これ普通酒のしぼりたてでしょ!?
青リンゴを思わせるジューシーでまろやかなテクスチャー。新酒らしい弾けるような瑞々しさはありますが、決して荒々しくはありません。
それはまるで、穏やかな航海の始まりを予感させるような、安心感のある口当たり。うまっ…。
特筆すべきはアルコール度数です。18度というかなりの高アルコールでありながら、それを微塵も感じさせないタッチの軽やかさ。後半のキレの良さも鮮やかで、盃が止まりません。
バチっと背中を叩いて鼓舞してくれるようなパワーはあるけれど、その手には、あの農作業の途中に電話をくれた裏さんのような、人の温もりが確かにある。そんな不思議な安心感に包まれる酒質です。
いや、これ良いですよ!新酒しぼりたてコンクールの普通酒・本醸造部門があるとしたら、ゴールドメダル受賞確定です。おめでとうございます!ひいき目抜きで旨いと思いました。
おわりに
そんなわけで今回いただいた『竹葉 しぼりたて生原酒』、正直、コスパという言葉で片付けるのが勿体ないほどの満足感です(もちろん、720mlで税抜1,500円という価格は驚異的ですが!)。
思い出補正もあるのかもしれません。でも、このお酒に宿る誠実さは、間違いなく本物だよね。こんなお酒を、私はもっと飲みたい。ずっと飲んでいたい。
蔵の公式HPによれば、合わせる肴はシーズンの蟹との相性が抜群とのことです。たしかに、炭火で炙ったズワイガニなんて、たまらなく良さそう!単体で飲んでもしっかり存在感を放つ素晴らしい酒質ですが、本質はやっぱり黒子的な食中酒だもんね。
来シーズンは気の利いたつまみを用意して存分に楽しもう。そう心に誓い、筆を置きます。
それではまた。
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